『Good Night OPPY』を観た~感情移入せずにいられないッ

2023/3/9 Thu

最高の自撮り.

Zwiftの友としてAmazon Primeにて『Good Night OPPY』(2022)を観た.

おやすみ オポチュニティ

全くノーマークだった.

たんなるサイエンス・ドキュメントだと思って観始めたのだが,これがまぁ,まさかの感動超大作.
壊れゆくマシンに感情移入するなんて『攻殻機動隊SAC』のタチコマ殉職シーン以来...(さよなら,バトーさん.うう)

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さて,このドキュメントだけどドラマ(と言ってしまう)の主人公はNASAが開発した多脚型火星探査車,いわゆる「ローバー」「オポチュニティ」
「Opportunity」なので,愛称が「OPPY」となる.

同型機(そそるぜ)の「スピリット:Spirit」とともに,2003年7月に火星へ向けて打ち上げられた.2機は発射日を少しずらすことで着陸地点が違う場所になる.

着陸は2004年1月.ゆえに約7ヶ月の宇宙旅行.

当初は到着後90日間で活動終了と思われていたのが,なんと,スピリットは7年間活動.オポチュニティに至っては...とんでもない.

番組ではその開発過程から探査終了(機能停止)までを,関係者のインタビューおよび,CGによる再現映像で紹介している.

ただのマシンであるはずのローバーに対し,職員や関係者が抱く愛情や悲しみ.
過酷な環境ゆえに起こる数々のトラブル.
故障,スタック,砂嵐,システムエラー,バッテリー切れ...
(平均)約 225 億 54,6 万キロメートル離れた星にいる“彼女たち”を直接助けることは不可能.
人類は誰一人火星に行ったことはない.

彼女らに生命があるかのように心配し,世界最高峰の頭脳を持つスタッフが知恵を絞り解決を模索.
トラブル解消の暁時の喜び様は,視聴者にも,マシン相手であるという事実を忘れさせる.
まるで『宇宙兄弟』の日々人遭難エピソードのようだ.

ローバーのデザインも素晴らしい.
六本の脚,腕,羽(太陽光パネル),首と顔,それに目(レンズ)がちゃんとついており,まんまピクサーのアニメに出てきても違和感ない.
はっきり言ってカワイイ.
感情移入するのもさもありなん.

途中でメンテなどが一切できない状況であることを考えると,もっと無骨で無機質な形状になってもおかしくないのだが,その容姿はまるで生物.
河森氏あたりにデザインさせたら,アイボみたいに,もっととんがってかっこよく...とはならんか.

映像も素晴らしい.

もちろん,探査中のローバーを撮る者はどこにもいない.
送られてくる火星の写真を用いたCGにより,第三者目線で2台の活躍を紹介している.
全く違和感なし.
そりゃ最新技術で作られてるしな.

それだけに「認知症」(メモリが壊れ一度シャットダウンするとデータを消失してしまう)と「関節炎」(ホイールが回らなくなり,アームも十分に動かない)を患ったOPPYの最初で最後の自撮り写真が,リアルで泣ける.

解像度が低く,白黒でボケているが,紛れもないホンモノのポートレートである.
開発スタッフは実に13年ぶりに彼女の姿を見た.

オポチュニティはその晩年にかつて火星に水があった痕跡を見つけ,その後砂嵐に巻き込まれ,機能を停止する.実に15年の活動だった.

ちなみに,今現在もNASAのローバーが火星を探索中.

まず「キュリオシティ(好奇心)」
2012年8月着.

次に「パーサヴィアランス(忍耐)」
2021年2月着.

この2機,OPPYに比べるとゴツく,イカつくなった.
正に強化型.強そう.
太陽電池から放射性同位体熱電気転換器(原子力電池)へ.
こ,これは「ジャイアントロボ」

そして,パーサヴィアランスは脱着式のドローンを装備しているらしい.
こ,これは「電人ザボーガー」!
しかも,酸素の生成に成功したとか.スゲー.

いつか人類は火星に降り立ち,赤い大地に居住する日が来るのだろうか?

火星移住を考えるにあたっての火星のキホン~計画、環境、課題、Q&A~

火星モノの創作物で印象に残っているのは,まず『火星年代記』(1979)

火星年代記 THE MARTIAN CHRONICLES 日本語吹替音声収録 コレクターズ・エディション [DVD]

小学校の夏休みに,TVで一挙放映していたのを観た記憶がある.
学術系ではなくSF.
ラストで,水たまりに写った自分と家族の顔を見つめながら「ほら,火星人がここにいる」とつぶやくシーンが印象的(うろ覚え).

一方,リアル路線で書かれ映画化されたのが『The Martian:火星の人』(邦題:オデッセイ).

オデッセイ [AmazonDVDコレクション] [Blu-ray]

これは面白かった.
マット・ディモンのメンタル,ヤバすぎ.

ちなみに原作者のアンディ・ウィアーはベストセラー『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も書いている.
こちらは現在,下巻を読書中.

プロジェクト・ヘイル・メアリー 上

実に面白い.
近々映画化だとか.
ロッキーのイメージ画がネットにいくつか上がっているが,もうタチコマにしか見えん.

うん?
火星ゴキブリことじょーじ? あーなんかそんなんもありましたね.

テラフォーマーズ 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

1巻(だけ)は普通に面白い.