旅の回顧録~1993年のカンボジア(24)

カンボジアの旅が終わる.

1993/4/5 Mon

現在,サイゴン「Hoang tu HOTEL」にてこの日記を書いている.
いやぁ,今日もやってくれましたね大前田(本名T)さん…

朝からの出来事を順を追って書いていく.

AM4:30,起床
宿を出る.頭痛はするわ,カラダはダルいわで,シムリアプでの熱40度時の症状に似
ているのが怖い.

AM5:30,プノンペン市内のサイゴン行きバス停着.近くの店で水を買ってリエル札を全て消費.

AM6:00,定刻より早く発車.
運転手のすぐ隣のデスシートに座る.国道1号と言えど,やはりカンボジアン・ロード.かなり揺れた.
「ほんの数年前には,この脇のジャングルにゲリラが潜んでいて,そして正面からはベトナムの戦車がドーッとやって来てんなぁ…」と感慨にふける.
フェリーの渡し着.降車するとチェンマネ・オヤジがワラワラと湧いてくる.US$1=8000ベトナム・ドンなんてふざけるにもほどがあるレート.当然無視.

AM11:30,国境着.
何にもない荒れ地にゲートが2つ立っている.これまで何度か国境を越えてきたが,空港インより,陸路ルートはやっぱり好きです.密入国するわけではないが,何となく危険な雰囲気が…平和ボケしてます.
カンボジア側のゲートはアンコール・ワットを模した茶色.ここはもちろんフリーパスで出国.

少し歩いてベトナム側へ.V字に角張った灰色のゲート.いかにも“共産圏”って感じやね.それっぽい無愛想な係官の手続きをすませ入国.わいろ要求もなく健全健全.すぐにバスが出るわけではないので,しばらく国境ゾーンを行ったり来たりしてうろうろする.
何もとがめられない.いいかげんなもんだ…と,これは外国人,それも日本人だからだろう.カンボジア人のベトナム入国チェックは非常に厳しいようだ.

Kazchariの入国手続き中,バスの運ちゃんが20冊近いカンボジアン・パスポートをドサッとカウンターに置く.なぜか一番上にはUS$20札がはさんであったが,それはすぐに係員のポケットに消えた.

バスのチェックがこれまたスゴイ.はがすわはがすわ,天井,イス,荷棚,床下,車両下,ボンネットを開けてエンジンルームまで全部チェック.すると出てくる出てくる,ラジカセ,時計,食料品,衣料品…おそらく密輸品であろう.バスの内外で官憲とカンボジア人があちこちで口論しているが,ベトナム人に少々押され気味である.

国境にもUNTACの出張所があった.ここで非常にめずらしいものを見てしまった.インド兵のシーク教徒がターバンをとって髪をとかしている姿.すんげ.これはなかなか見れませんよ.

で,近くの食堂でベトナム料理,卵と豚肉のぶっかけメシを食う.これはうまい.肉のうま味がなんとも言えん.US$1だして 5000ドンのお釣り.わずか50円ほどでこの味とボリューム.うーむ.これからが楽しみだ.

PM1:00,バスの出発予定時刻
バスに乗り込むと,荷物はあるものの大前田(T)さんの姿が見えない.トイレや先ほどの食堂に探しに行くがいない.

とうとうバスが動き出した.あわてて飛び乗るがやはりTさんがいない.止めようにも英語が通じそうにないし,そもそも行方不明では説明がつかない.こんな国境近くでバスを引き留めておくのも悪いし,まぁあの人のことやから,この先の市場にでも行っていて,道路で手を挙げて乗り込むつもりかもしれん…と,希望的観測をたててみたが…やはりいない.

サイゴンに向けてバスは進む.この巨大なTさんの荷物,どうすんの?(続く)

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