デジタルとリアル(その2)

020/4/16 Thu

被験者Xさん,起死回生の出演か

4/12に放送されたNHKスペシャル『デジタル VS リアル 第2回 さよならプライバシー』を観た.番組の概要をNHKサイトからコピペする.

渡辺直美さんが伝えるシリーズ「デジタルVSリアル」。第2回は、あなたの行動パターンや心の中までを映し出す「デジタル・ツイン」の物語。今や生活に欠かせないネット検索、買い物アプリ、SNS…。そこに入力されるプライバシーデータから、もう一人のあなたをデジタル空間に生み出すことが可能な時代に。しかし、取り扱いによっては、誰かに秘密を知られたり、行動を監視されたり!?スマホが手放せないあなた、必見です!

デジタルテクノロジー発展の負の側面にスポットをあてるデストピア番組第2回.第1回の『フェイクに奪われる“私”』も興味深い内容だったため,この放送も楽しみにしていた.

スマホの位置情報」と「ネット検索ワード」だけで,ある人物(被験者X)のプロフィールをあぶりだすというのが主軸(もちろん当人の許可は頂いている).結論から言うとこの2つの情報だけで,このX氏がどういう人物なのかを,ほぼ正確に把握することができる.

香港デモ医療班のある男性は,既に警察にマークされており,スマホや電子マネーの使用を可能な限り避けている.あるデモの前日,滞在先のホテルの情報が洩れて逮捕されそうになるが,間一髪で逃走.活動中はトランシーバーを使う.

アメリカではAmazonの防犯カメラRing(スマートベル)が流行.近所の人の何気ない表情や行動をシェアしたり,なぜか不審者・侵入者が慌てふためき逃げていく画像で大笑い(怖くないのか?).何よりも警察に画像を提供し犯罪捜査に協力している.警察のコメント「プライバシー? あのAmazonが売ってるんだから!」がなんとも...このRing,日本ではあまり普及していないようだが,このコロナ禍が続くと“置き配促進キャンペーン”とかなんとか言って格安で売り出しそう.

以上の様に,端末を介して企業や政府に集まったデータによって,プライバシーは駄々洩れになっているのだが,番組内のアンケートでは便利さと引き換えに,自分のプライバシーを売り渡してもよいと思っている人が20~40代の2/3にも上るという結果も示していた.

こうしたデジタルデバイスが,思考という脳力の消費を軽減してくれるのは確かなのだ.こちらが知りたいと思っているであろう情報をバシバシ送り付けてくる.DMよりも確実にピンポイントで.例えば,以前,肩凝りがひどいという記事を書いた.その頃,Googleで原因やネックサポーターについて数回検索した.そうするといつの間にかYouTubeのおすすめリストに頸部マッサージの動画が並んでいたりする.ああ,こういうことなのね.

以前,何かの書籍で読んだが,現在は世界中あちこちに監視カメラがある.セレブの人たちは,そういったプライバシーを丸裸にされる場所を嫌って,人里離れた場所で過ごすのかと思いきや,実は逆で,カメラによって監視されている方が安心なので,あえてそこを選ぶそうな.

Kazchariもスマホこそ持ってないものの,日々の生活でGAFA(Google,Apple,Facebook,Amazon)に個人情報を捧げまくっている.わかっていても利用を止められない.

国家や権力者に支配されている...不快極まりない状況だが,結局その彼らが勢力を誇っていられるのは,我々庶民が日々活動しているから.革命を起こさせない,生かさぬ殺さぬ戦略に乗り,世界全体の成長に期待し,そのおこぼれをもらう(トリクルダウンというヤツですね)しかないのだろうか…と.まぁ腹立たしい話だが.この社会全体の成長を信じるゆえにインデックス分散投資を実践してきた.
アフター・コロナはどうなるのだろう.プライバシー漏洩の有無に関係なく,“見放された人たち”はどう動くのだろう.

それにしても被験者Xさん,名前こそ出していないけど,顔や店の名前,住んでいる地域,趣味,嗜好まで全国にさらしたけど大丈夫なのか? 人生行き詰っているようやけど起死回生の一発勝負やったんかな.香港の方も心配.中国政府もこの番組見ているのでは?

いや,待てよ,第1回の「フェイク」話と合わせると,二人とも実はバーチャルな存在だったりして…

コメントを残す