2020/11/18 Wed
これで選んで大丈夫?
少し前,YouTubeの岡田斗司夫ゼミで「Googleに入社するにはどうすればよいか」というネタが紹介されていた.
例えば,Googleの入社試験に,
「あなたは10円玉の大きさに縮められて,ミキサーの中に入れられました.もとの密度を保ったまま,あなたの質量は小さくなります.ミキサーの刃はあと60秒で動き出します.さて,どうする?」
という問題が出たそうな.
他にも,マイクロソフトの
「富士山を動かすとしたらどうすればよいか」
なども有名.
一時期,こうした奇をてらった問題が,有名どころを含む様々な企業で出されたらしい.
ちなみにGoogle問題の模範解答は,
「元の密度を保っているので筋力は同じ.質量が軽くなっているので,ジャンプをすればミキサーから飛び出せる」
とのこと.
マイクロソフトの問題はいわゆるフェルミ推定.
よって「頂上の土を削って横に動かす=水平移動」「盛り土をして高さを増す=垂直移動」のようなとんち解答ではなく,富士山のおおよその体積やら,トラックの台数,人員,期間やコストなどを論理的に概算し,実現方法を提示しなければ合格にならないらしい.
こうした,企業の一見風変わりな入社試験を集めた『ソクラテスの人事』という番組がNHKで2009年に放送されていた(岡田斗司夫も出演).
先日それをまとめた書籍を読んだ.
全部で36問掲載されていたが,特に面白かったものをピックアップ.
「江戸時代にタイムスリップしたあなた.偶然持っていた〇〇を使って商売を始めたところ大成功します.その〇〇とは何ですか?」
「次の文のA,B,Cに適切な言葉を入れなさい.
就職活動といえば(A)
(A)といえば(B)
(B)といえば(C)
(C)といえば地球である.」「「こだま」「ひかり」「のぞみ」に続く次世代新幹線の列車名を日本語で10案考えなさい」
「火星人はどんな生活をしていると思いますか.イラストにして説明してください」
「「風は吹けば桶屋が儲かる」の論理展開の要領で,「ロングのヘアスタイルがはやると牛丼が98円になる」にたどり着くまでに必要な間の出来事を4つ書きなさい」
「サザエさんの新キャラクターを登場させてください.そのキャラクターが登場する回のストーリーもお答えください」
「今,南米で「パケレレ」というスポーツが大ブレーク中です.「パケレレ」を日本に紹介する時のキャッチコピーを考えてください」
「人生最大の失敗をブログに書くとします.そのタイトルを考えてください」
「あなたの家の中で一番使いにくいものは何ですか.もしそれをあなたが作る立場だったら,どういう方法で解決をしますか」
「2グループに分かれて寸劇を作りなさい.お題は「幸せを感じる瞬間」」
「「がんばれ」に替わる言葉を考えてください」
「あなたは世界〇〇賞グランプリを受賞しました.受賞記念スピーチをお願いします」
「ピースに代わる記念撮影のポーズを考えてください」
「あなたは社長です.新入社員に向けてメッセージをお願いします」
頭の体操にちょうど良い.
企業が求めているのは柔軟な発想力.
どれもこれもフェルミ推定とまではいかないが,面接官を納得させるロジカルシンキングが必要.
最悪な解答は「わかりません」「できません」「思いつきません」だそうな.
Kazchari(一応教員)の担当講義で使えそうだ.
今時の若者は...という言葉は使いたくないが,無口&消極的な学生が増えているのは実感している.
感情表現は苦手(したくないだけ?)かもしれないが,業務上,論理的思考に弱いのは困る.
今度試してみよう.
ただし...2013年頃になると,採用試験において,少なくともフェルミ推定のような奇問のは意味ないのでは,という意見も出てきたそうな.
「地頭力」試すのは時間の無駄だった グーグル人事責任者、衝撃の告白
ようするに,「「質問を解く力」と「業務で発揮できる能力」との関連性が不明」ということらしい.
採用したヤツが使えなかったんやろなぁ...
では「試験問題を作らせる」という課題はどうだろう.
「重要なことは答えることではない,問うことである」
「人は,どう答えるかではなく,何を問うかで評価される」
(森博嗣:臨機応答・変問自在より)
この観点で考えると『ソクラテスの人事』で紹介されていた中では,以下が優れているのではないだろうか.
「あなたは採用担当者です.次の世代を担うユニークな人物を採れと上司から言われました.面接試験でどんな質問をしますか」