『シン・エヴァ』公開前に(その2)~貞本版を再読

2021/1/24 Sun

人,いやKazchariの記憶はあいまい.

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少し前に中田のYouTube大学に触発されて『シン・エヴァ』のネタを書いた.

『シン・エヴァ』公開前に

中田の考察動画では貞本エヴァ,いわゆる漫画版の内容についてほとんど触れていない.
Kazchariも「確か旧劇に沿った内容で終わらせたよなぁ...」程度の認識で,内容をほとんど忘れていた.
そこで,あらためてKindleで全14巻購入済みだった貞本版『新世紀エヴァンゲリオン』を再読してみた.

以下,何を今さらの貞本エヴァのネタばれ.

いやぁびっくりした.
まず,最終14巻は2014年11月発行
つまり貞本エヴァ最終巻は『Q』公開年,2012年の後に発行されている.
ただし内容的に『Q』とのからみはほぼない.

貞本エヴァのストーリーラインは基本的にTV版+旧劇場版を踏襲.
ここでもハブられるジェットアローン...

後半になると,新解釈や各キャラの過去や心情が盛り込まれている.

まずシンジくん,TV版よりやや明るい性格に変化.
モノローグパートもユーモアがある.
とは言え,NERVに来る前の暗い生活も追加.

加持さんの過去描写あり.
セカンドインパクト後,どういう生活をしていたのか追加.
それで今(29歳)の言動に肉付けしていく.
孤児になって軍の施設から盗みを働くとか,『創聖のアクエリオン』とかぶる(ただの偶然).
リツコ(たぶん)に撃たれて,死ぬシーンがちゃんとある.

キャラの大幅変更があったのがカヲルくん.
TV版よりだいぶ早めに登場(使途によるアスカの精神汚染前).
いきなり子猫を絞め殺すなど,理解不能の“嫌なヤツ”になっている.
と思いきや,“ヒト”らしい感情のゆらぎもある.
むしろ『Q』のカヲルっぽい?
まぁ,使徒は使徒.

旧劇で一番フラストレーションがたまるのが弐号機vs量産型の戦闘.
再生能力を備えた9体の量産型エヴァに蹂躙されてしまう弐号機.

観客としては,直前のシンジとミサトのからみもあって,初号機が間一髪で出撃し,量産型をバッタバッタと投げ飛ばしアスカを助ける...描写になると思いきや,映画ではシンジくんは何もできず,そのままサードインパクトの依代にされていまい,「うわーうわー」と叫ぶだけ...
貞本版では,そこが改善され,初号機がちゃんと戦います.
結局は量産機に追い込まれてしまうけどな.

そして一番の驚きはゲンドウ.
階段の下でやる気なく落ち込んでいたシンジを戦自の兵隊が銃殺しようとする.
それを助けるのはなんとゲンドウ.
右手に埋め込んだアダムからATフィールドを発現(!)し,シンジを救う.

でも,その後は唖然.

なんとシンジに対して「俺はユイの愛情を一身に受けるお前が憎かった」とかなんとかほざくんですよ.マジか?

そもそも,一般常識的に息子を愛さない夫を,その嫁さん認めますか?
認めるような家庭があったら機能不全の虐待家族では?

まぁ,ゲンドウがそういう人物だったということなのだろうけど,そうすると,そんなゲンドウに惚れたユイもどうかと思われる.
ようするにTVも映画も漫画も,ユイという人物の掘り下げが浅い気がする.

しかし,これでますます『シン・エヴァ』最新予告の13号機vs初号機は,実はゲンドウvsユイ(+シンジ)の可能性がKazchariの中で大幅にアップ.
つまり,エヴァとは「全人類を巻き込んだ夫婦ゲンカ説」が最有力候補に...

なんてこった.

これって,岡田斗司夫がかなーり前に冗談半分で言ってた説やん.

で,ラスト.
シンジくんはみんなが一つになる「人類補完計画」をやっぱり拒否し,個体としての人類再生を選択.

貞本版にアスカの頸を絞めての「ギモヂワルイ」はありません.

TV版にあった「パンを咥えて走る明るい綾波」ほどではないが,“その後”の世界は描かれる.

シンジは高校受験のために上京.
そこでケンスケやアスカと出会う.
季節は冬.雪が降っている.

おっ,そう言えば『シン・エヴァ』の少女時代らしきアスカも冬装束やったな.
やはり転生(?)後の世界が描かれるのか?

巻末のおまけ漫画が衝撃的.
なんとマリが登場する.
そして,先ほどキャラの掘り下げに不満があった,ユイの人となりが少しわかる.

というわけで,6年も前に完結していた貞本版で,割とすっきり片が付いていたのねん.

かようにヒトの記憶はあいまい.

とかなんとか書いてはいるが,そこはエヴァ.
こちらの予想をめちゃくちゃ裏切ってくる可能性も残っている.
そう,冒頭のパリでの戦闘も予告も全部ウソ!...だったりすると面白い.

この26年間,エヴァに関してはもうありとあらゆる考察がなされてきた.
また,ループ,転生,パラレルワールド,メタなどありとあらゆる可能性を用いたポストエヴァ的な創作物も作られ続けてきた.

『シン・エヴァ』はそれらを大きく上回ってくるか?

どのようなどんでん返しがあろうとも,「エヴァらしいね」と言われるに違いないが.

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