『LONG WAY UP』の感想(その2)「アルゼンチン&チリ編」

2020/11/16 Mon

羨望しかない.

ユアン・マクレガーとチャーリー・ブアマンの中南米縦断バイク旅『LONG WAY UP』AppleTV+で視聴中.

ようやく全行程の1/3を視聴完了.
アルゼンチン&チリ編やね.
サンティアゴやブエノスアイレスなどの大都会は避けて地方都市をつなぐ旅程.
当然,道の状況はあまりよくない.
ウシュアイアからしばらくは雪景色(凍結は大丈夫なのか?).
北上するにつれ,荒涼とした岩砂漠へ.
もちろん未舗装.
あの短いサスとロード用タイヤでよう走るわ.
実に楽しそう.

それにしても...絶景に次ぐ絶景.
そのあまりに美しい風景に感情が揺さぶられる.
撮影技術も進歩した.
中でもドローンを駆使した映像が素晴らしい.

そうやなぁ...やっぱり南米(チリ,アルゼンチン,パラグアイしか訪れていないが)は景色,食い物,人,全てが良かった.

今回の旅の目玉は電動バイク&クルマの旅であること.

ゆえに充電切れの不安が常にある.
ようやく街にたどり着き,民家やホテルの電源に接続しても,電圧の関係なのか,うまくいかないことが頻繁に起こる.

サポートカーも砂漠の真ん中で充電切れの他,システム異常によるブレーキロックなど,トラブルだらけ.

バイクもクルマもガソリン車以上に気温や風,スピードや路面状況(登り!)による電力消費の差が激しいようだ.
ホテルの中にバイクを持ち込み温めると電力が復活するとか,クルマのスリップストリームを使うとか...その問題解決方法も番組として楽しめる(無事にゴールするとわかっているからだろうけど).

何よりあの過酷なルートで,あの“ハーレー”が壊れないのが何より驚異.

そういや電動だと排気量という概念がなくなる.
今後電動バイクが増えてきたら,グレードはどう表現するのだろう?
ワット数? バッテリー容量?

ここでKazchariの電動バイク体験記を.

2018年に石垣島を旅した時,現地で電動スクーターを借りた.

石垣島の電動レンタルバイク

うろ覚えだが,台湾メーカーが今後の日本本土への展開を考えて,島で試験運用中だったように思う.
有名どころの観光地にバッテリーステーションがあり,2リットルのペットボトルより二回りは大きいバッテリーを交換しながら走りつなぐ.
満タンで80kmは走る.
狭い島なので充電切れの心配はまずない.

OLYMPUS TG-5 /2018年9月22日
OLYMPUS TG-5 /2018年9月22日
OLYMPUS TG-5 /2018年9月22日

大きな声では言えないが,「ブーストモード」なるものが付いていて,これを発動させると50ccのスクーターより明らかに速い(その分電力消費も激しい).
内燃機関の排気音ではなく「ウィーン」というモーター音が独特.
番組中の電動ハーレーも同じような音がしている.
(名物の)エンジンの振動はほぼなさそう.

さっき,久々に公式サイトを見たら,中古車を販売しているようだ.
もちろん走行は石垣島内に限る.
そらそうだ.
バッテリーステーションが必要やし.
本体だけでなく月々バッテリー使用料も別途かかる.
ガソリン車とどっちが得?

それにしても...番組を観ながら考えてしまう.

世界あちこちを旅してきたが,レンタルバイクなど単発的な場合を除き,飛行機,バス,列車など公共交通機関を利用しての旅がほとんど.

楽で安全だが,自由に自分のルートを線でつなぐオートバイ旅の方が何倍も楽しいのは間違いないだろう.
あっ,そういや2010年にボルネオ島1500kmをバイクで横断するツアーに参加したことを思い出した.
あれも実に良い思い出.

昨日は冬支度の一環として,HONDA XR-BAJAのバッテリーを外し,車庫の奥深くに入れた.
今年はもう乗らない.
いや,正直に言う.
今シーズンは一度も乗らなかった.

もちろん自賠責も任意保険代も払っている.
年3万ほど.

なぜ乗らなかったのか.
理由はわかっている.
自転車が楽し過ぎるのだ.

オートバイには19歳の頃から乗っている.
一周こそしていないが,それこそ日本中出かけた.
豪雨や暴風の中,雪山,猛暑の中を走り,満天の星の下でキャンプをし,見知らぬ人と話した.
何よりオートバイは造形的に美しい.

オートバイは乗らなければ朽ちていく.
サスはへたり,オイルがにじみ,ガソリンが腐り,サビが浮く.

『LONG WAY UP』を観る前は,本気で手放すことを考えていた.
今,その気持ちが揺らいしまっている.

死ぬまでに達成したい目標が,また一つできてしまったかもしれない.

そう,オートバイで南米を走りたい.

OLYMPUS CAMEDIA C5050Z / 2004年7月20日 チリ-アルゼンチン国境にて

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