旅の回顧録~1993年のカンボジア(10)

1993/3/22 Mon

本日も腹痛と頭痛で目が覚める.ここ数日,体調極めて悪し.大事に至らねばよいが…

寝ぼけた頭で過去のことをいろいろと思い出す.子供の頃のこと,学生生活,3年間の会社(というより沼津)での生活がなつかしい.そして…
頭蓋骨の裏側にへばりついた,これらの記憶に触れようともがく.刻の流れを痛覚としてとらえる.弱気になる.フリーになると規律が,ルーチンな生活には自由が恋しくなる.今はフリーの時期で不安.人には枠が必要か.

以前少し考えたこの後のカンボジア海岸旅だが,どうも大前田氏のアクの強すぎる性格についていけなくなってきている.Y氏も同様のことを考えているようだ.そもそも個人旅行者同志が長期間,団体で旅することに無理がある.
さて,どうしようか…

「Sunrise Guest House」の住人たちは日がな一日TV(香港映画?)を観てるか,床の掃除をしている.

御主人は Mr.キムという中国系の方である.もの静かな感じで諦念観漂う人.英語を話されるので,あの大虐殺の時代をどう過ごしたのか聞きたかった.でも,聞けなかった.聞いてはいけないのかもしれないと思った.

夜,Mr.キムは月明かりの下,一人,玄関でラジオを聴いている.耳をかたむけるとそれは日本語の放送だった.なぜだろう?

Mr.キムには20歳ぐらいの娘がいる.「へい,むわすたぁ~」というやたら低音の声でシンプルな英語を話す.そういえばプノンペンでも話題になってたなぁ,この娘…

また,この家には猫,それも子猫がいる.おかげで一日宿にいても,さほど退屈せずに済んだ.猫好きならわかるやんな?

Y氏がクメール文字の分析をしているのを横で眺めていたら,Kazchariも段々と興味がわいてきた.タイに戻ったら文字の表記と発音をきちんとやってみようと思う.

ちなみにKazchariの名前はクメール文字で,□□□□ □□□zu(注:□はクメール文字)となる.“zu”という発音は存在しないのだ.

このパズルに熱中していたおかげで,行きつけのレストランの閉店時間が過ぎてしまった.夜の町を歩いて,ようやく見つけた屋台には“ニラもち”しかなく,仕方なくそれを食う.味は悪くない.でも今の体調にはHeavyだ.(その11へ)

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