2024/1/27 Sat
これで良かったのか?
最近のエンタメはメインターゲットをかつての少年(もしくは子供)にしているものが多い.いわゆる「大きいお友達」やな.
実際,最近ヒットしているもの,例えば『鬼太郎』『ゴジラ』もそう.
新規層もゼロではないだろうけど,元のオリジナル(ネタ)を知っている,体験済みの方が楽しめるのは間違いない.洋画も同じか.
1/26に公開となった『機動戦士ガンダムSEED FREEDOM』もまさにそれ.
無印の放送は2002年,続編の『DESTINY』は2004年.
つまり20年ぶりのシリーズ最新作となる.
世界的な大人気作だけに期待値高め.
ネットやらなんやらでネタバレを食らう前に,このBigWaveに乗ることにした.
まずはこれまでのストーリーの復習.
無印はともかく『DESTINY』は消化不良甚だしい.
このもやもやを吹き飛ばしてくれることを期待して,公開日の20:40の回に出かける.
地元のCINEPLEXは久々に超満員.『エヴァ』の初日と同等.
いつも通り脚をのばせる前方通路の席を選んだが,左右とも巨体のおっさんが着席.仕方がない.
で,いよいよ上映開始である.
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以下,ネタバレ.
例によって他人のレビューや考察は未見なので間違いや誤解はご容赦.
全般に辛口.あの内容で「あり」の人は読まないでください.
我々は20年経ってみなおじさんになった.
その間,様々な経験をし成長しました.
しかし,この映画のキャラは見た目の変化がない.
せいぜい『DESTINY』から2年後くらいの世界?
そうそう,女性キャラたちがみんな口紅をつけている.
何か...下品(個人の感想です).
問題なのは見た目だけでなく,思考や行動にも変化がない.
それにつられてか,驚くほどストーリーに進展もない.
DESTINYプランを提唱しただけで消されてしまったデュランダル.
その彼を信奉する国家(ファウンデーション)が策謀をめぐらし(これもよく見た展開)再びプランを実行しようとする.
彼らはコーディネイターのアップグレードverである「アコード」による統治を企んでいる.理屈はわからんが,このアコードとやらは人の感情や記憶(?)に干渉できるらしい.
その能力によってラクスやキラがダマされて協定違反やら仲違いさせられる.
平和維持軍のコンパスはアークエンジェルが墜とされ,出資者にも見捨てられる.
そやけど,こんな”特殊能力”による人の心のすれ違いって安易すぎやしませんか? ドラマになっていない.
特に前半パートのファウンデーションでのラクスのNTRシーン.
何回,似たような画を見せられるんやろ?
これまた何度繰り返すのかわからん精神・性格破綻の悪キャラ軍団「ブラックナイツ」に,新製品「ライジング・フリーダム」「イモータル・ジャスティス」があっさりと撃墜される.
弱すぎてプラモの売り上げが心配だ.いいのか財団B?
で,そのピンチを救うべく,おそらくこの映画最大のサプライズであろう赤い「ズゴック」に乗ったアスラン登場.
ただし...乾いた笑いしかでない.
そう,必然性のないファンサービスは冷めるだけ.
結局新造艦「ミレニアム」にイツメンが茶番を経て乗船.
その後は真田さんばりの「こんなこともあろうかと」的な早口技術者キャラが大活躍.誰?
さらには,これまた都合よくデータ取りのために復元された「ストフリ」「インパルス」「デスティニー」をオーブが用意.
うーん.本来ならめちゃめちゃ燃えるシーンのはずやのになぜだろう? 全然あかん.
『トップガン・マーヴェリック』でF-14登場時は大興奮やったんやけどなぁ.なぜだ?
これまたお約束の”攻撃詐欺”のオーブに向けて,レクイエム発射.
大ボスの(見た目)子供女帝.どう考えても無理のある挑発にのって照準を変えてしまう.アコードってアホなのか?
宇宙に上がってからのクライマックスはMS大運動会.
ここで,本作登場メカについての感想.
まずは謎のHONDA推し(そこ?).
ほぼまんまの「GOLDWING」と「HAWK11」が登場.
世界観から思いっきり浮いてます.キラは旧車好き?
TV版ではザク,グフ,ドム,ビグザム(デストロイ)を出しました.
今回,ギャン,ゲルググ,ズゴックまで出しました.
となると...ラスボスはジオング!...にはならなかった.
何の印象も残らない地味なラスボス.白っぽいシナンジュ?
なぜわざわざ旧式のデュエルとバスター?
ミーティア装着すればおっさんは喜ぶ?
ズゴックにキャバリアーですか.ドラグナーですね.
で,目的は?
そのアスラン,フリーダムのピンチに2度も現れるわけですが,なんとその中身はジャスティスだった!
仕掛けは面白いけど,作画が雑で一瞬でジャスティスに変化したかのように見える.
せっかくなら,装甲が1枚1枚パージされるとか,ガッチャンガッチャンと変形するとか,いっそ巡行形態のイージスが現れるとか...もったいない.
声優の変わったカガリ.
宇宙までストライクルージュは何しに来た? 姿さえ見せない.
そして本作最強のディステニー.
あぁ,TVでずっと不遇だったシンへの罪滅ぼしですか.
そっちじゃなくて人としての成長をちゃんと描いてほしい.
なんか変に丸くなってて別人の様.
「俺が弱かったのはジャスティスだったせいだ.こいつならぁ!」って,これ一応ガンダムやんなぁ? リアリティは?
で,隠し続けていたキラ搭乗の決戦兵器は...バックパックだけの交換したフリーダムでした.
いや,額にハイメガキャノン(っぽいナニカ)が付いたか.
ラクスが『クロスアンジュ』ばりのピチスーツと操縦姿勢で搭乗し,合体後はフリーダムのコクピットに乗り込んで「石破ラブラブ天驚拳」ですか.そーですか.
これ『Gガン』?
そもそも,ファウンデーションは「コスモバビロニア」っぽいし,淫乱ギャン子(名前忘れた)はクエスっぽいし...何か過去ガンダムの変なオマージュ多め.あっ『ヤマト』も.
他に気になったのは,うるさすぎる場所テロップ.
国名とか都市名ならまだわかる.
「広間」とか「庭」とか「格納庫」までいちいち表示する意図は何?
RPGではないのだ.見ればわかる.
親切心?
説明過多もここまできたか.
それとも庵野カントクの真似?
あの読ませる気のない高速テロップはあくまで演出だと思うが.
つーことで,今回も最後までなぜ「ディスティニープラン」がダメなのか納得のいく説明はなかった.
現実世界でも「努力も才能」であることが明らかになりつつある.
無責任に「夢を追え」「あきらめるな」「がんばれ」と鼓舞し続けて,結果的にその子を不幸にする事例もある.
本人納得の上での適材適所の提示すらあかんのだろうか?
愛だの,未来だの,可能性だのでごまかされる層だと思われているのだろうか? 我々(おっさん)は?
確かに今回ような選民思想バリバリ集団による統治は問題かもしれんが,いっそプランそのものが一度実行された世界を描き,作り手が具体的な問題点を提示すべきでは?
TV版から数十年後,キラやらアスランの子孫がその理不尽に抗い,伝説のMS,シードガンダムに搭乗する!
もちろん未だに謎のままの「宇宙クジラ」と「種割れ」の解説もよろしく.
結論.
この映画には新しいモノが何もなかった.
これは旧劇エヴァのごとく「お前らいつまでもロボアニメ見てるんじゃねぇ」というメッセージなのか?
時を経た人気作品の続編としては『マトリックス・レザレクションズ』が挙げられる.
映画としての好みはともかく,監督の性別変更やら,その後の世相の反映など,新しい価値観を取り入れようとした点は評価できる.
今回の『SEED FREEDAM』に近い映画というなら『復活のルルーシュ』かなぁ.つまり,あってもなくてもよいファン(妄想)ムービー.
それにしても,上映終了後の劇場の雰囲気が微妙やったなぁ.
まるで『エヴァQ』の再来.
話は変わるがこの劇場,上映スケジュール表に独自基準で「3歳以下でも鑑賞可能マーク」を付与してるけど,なんと『ゲ謎』にそのマークが.
大丈夫なのか?