『12モンキーズ』とタイムトラベルもの

2020/3/24 Tue

過去には飛べない.

12モンキーズ(字幕版)

Amazon Prime Videoにて『12モンキーズ』(1995)を久しぶりに観た.このご時世にぴったりの映画だが未見の人のために,一応あらすじをコピペ.

ブルース・ウィリス、ブラッド・ピット共演で贈るSFサスペンス。人類の99%が謎の細菌に感染し死滅した近未来からタイムマシーンによって現代に送り込まれた男が、人類死滅の原因を突き止めようと奔走するが…。監督はテリー・ギリアム。

最近,TVドラマver.も製作されているがそちらは未見.ファイナルシーズンまで,全てがPrime配信されたら観る予定.

以下,ネタバレ.

このあらすじ良い.そう,謎の細菌(ウイルスではない)の蔓延を阻止するではなく「原因を突き止める」にとどめている.そう,この映画はタイムトラベル物やねんけど,未来(主人公にとっては現在)を変えて良い方向に変えることが目的ではないという点が特徴的.これって意外に斬新では?

1995年の公開時,たぶん映画館で鑑賞したと思うのだが,その際は「ああ,ブラピが主犯と思わせて実は助手だったのかぁ.上手いなぁ.ブルース死んじゃってバットエンドかぁ.エンディングの”What a wonderful world”,皮肉が効いてるなぁ」程度のアホな感想しか持てなかった.ラストシーンで隣に座った未来の女医のセリフ「私は保険屋よ」の意味もわからなかった.当時は「この女医さん,パンデミック後の未来にも生き残るのかぁ」程度の認識.

今,考えるとこの女医も過去にタイムトリップしてて,ブルース・ウイルスが細菌奪取に失敗した,もしくは真犯人のバラマキを妨害しようとした際の“保険”という意味やろな.ようするに未来での特権的地位を失いたくない.細菌をコントロールして自分たちだけは安全なまま,下級国民どもを支配し続けるための,細菌の出所調査だったということだろう.握手によって彼女は細菌を手に入れて映画は終わる(諸説あります).いずれにせよ,デストピアはデストピアなのだ.

そういや監督のテリー・ギリアムは似たような傾向の大傑作『未来世紀ブラジル』も撮っている.こちらもバットエンド中のバットエンド.

Brazil (字幕版)

「未来を変えない」もしくは「どうやっても変わらない」物語にすれば,タイムパラドックス問題(有名なのは過去の自分を殺すとどうなるのか)が起こりにくいストーリーにできるなぁ.いずれにせよ,鑑賞後に様々な考察で楽しめる映画なのは間違いない.ブラッド・ピットの狂気の演技(左目のズレたコンタクト)も必見.おすすめです.

タイムトラベルは過去には行けないが,未来には行ける」と言われる.

有名なのは宇宙旅行におけるウラシマ効果.ブラックホールの超重力や光速ロケットによるウラシマ効果を表現した大傑作『インターステラー』.そのラストで自分より老いた娘と再会する場面は泣けます.

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ガイナックスの『トップをねらえ!』も絵柄に似合わないハードSF設定が評価されている.ウラシマ効果による「オカエリナサイ」が名シーン.

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理論上,不可能とされる過去改変映画ではなんといっても『バック・トゥ・ザ・フューチャー』が超有名.過去に行って今と未来を変える系だが,これはハッピーエンド.多くの人が映画史上最高傑作に挙げている.

少しマイナーだと『バタフライ・エフェクト』も良い.過去を変えたら現在がとんでもないことになってしまい.一番マシになるまで何度も何度も修正を試みるが...ロクなことにならない.Kazchari所有のプレミアム・エディションには劇場未公開のアナザーエンディングが収録.これがまぁ...超せつない.興味ある人は通常版の後に観ることをおすすめします.

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あっ,もちろん『ターミネーター』もあるな.1と2だけで後は蛇足やけど.他にも『ルーパー』とか思い出せるものもあるが,それらはまた別の機会に.でも映画以外のタイムトラベルもの最高傑作は「ドラえもんだらけ」(コミックス第5巻収録)でしょう.異論はいくらでも認める.「夏への扉」にはかなわないとか…(最後はネコつながりで)

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