『プライベート・ライアン』を久しぶりに観た

2020/4/29 Wed

Earn this. Earn it.~無駄にするな.しっかり生きろ

プライベート・ライアン (4K ULTRA HD + Blu-rayセット) [4K ULTRA HD + Blu-ray]

時短勤務のため家にいる時間が増えた.食べるか寝るかZwift/3本ローラーの日々.結果,チャリに乗りながらのAmazon Prime video漬け.
家事をしながらのBBCセミドキュメント『D-Day 壮絶なる戦い(字幕版)』の後は,無性に『プライベート・ライアン』が観たくなった.この映画は3時間もあるので2回に分け,その間Watopiaを80km以上走った.

プライベート・ライアン』は言わずと知れた名画.もちろん劇場公開時も観た.

有名なのは,何といっても冒頭30分のノルマンディ上陸作戦オマハビーチの阿鼻叫喚.初めて観た時の衝撃は忘れられない.映画ファンによる「一番エグくリアルな戦闘シーン」ランキングでは,まず上位にあげられよう.
展開が強引なスプラッタ系ムービーを除くと,人体破壊描写で匹敵するのは『ランボー最後の戦場』ぐらい? CGがより進化した最近の映画,例えば『ハクソー・リッジ』の戦闘シーンにも引けを取らない.かのボトムズも『ペールゼンファイルズ』で完コピしてたな.

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残りの2時間半近くは,尻つぼみ感が否めない…と思っていた時期がKazchariにもありました.これは単純に戦闘の規模が徐々に小さくなっていったことに比例する.
10年ほど前,自宅にプロジェクタ100インチスクリーン7chのホームシアターを導入した際にこの映画のBlurayを試聴した.四方八方飛び交う銃弾に興奮したものの,やはりその時も30分で観るのを止めた.

しかしながら今回,何年かぶりに観ると新たな発見があって非常に面白い経験ができた.いや,自分が老いてこれまでと観る視点が変わったと言うべきか.

以下,ネタバレ

-映画レビューサイトには「アメリカ万歳が鼻について楽しめなかった(だから酷評)」という見当違いのものがあったり,「なんでライアンだけを犠牲覚悟で探させるのかわからない(だから酷評)」というのもあったが,これもどうだろう.息子全員を無くしそうな母親に同情というよりも,戦意高揚のプロパガンダに利用したかっただけの話では? 上級将校がセリフで匂わせてなかったっけ?

-ミラー大尉は自分の心情をほとんど語らない.捕虜を逃がす逃がさないで部下がもめた時に諫めるシーンぐらいか.他は全て表情・身振り(特に右手の振戦)だけで語る.何でもかんでも台詞+オーバーアクションで説明する日本映画との違いが顕著.日本人って日常やとノンバーバルの察し文化のはずやのになぁ.
いずれにせよ,戦争=殺し合いという狂気の中で何か良いことを成し遂げたいという思いが十分伝わる名演だった.マチルダさんの「戦争という破壊の中でただひとつ,物を作っていく事ができるから,かしらね」という名言にも通ずる.

-映画小ネタサイトで知ったのだが,最後の戦闘前にライアンことマット・デイモンが兄達との思い出を話すシーン.あのエピソードはなんと全編アドリブなのだそうな.恐るべしジェイソン・ボーン

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-昔は気にも留めてなかったけど,ミラー大尉の遺言「Earn this. Earn it.(無駄にするな.しっかり生きろ)」ってええ言葉やな.
反戦映画だとか,単なる戦争アクション映画だとかのしょうもない評はともかく,この全てを総括する最後の台詞が何よりも記憶に残った.

ほとんど戦時下の昨今.医療関係者,物流関係者などが命を懸けて働いている.
現場から離れている自分に何ができるのか,また,過去に何を残せたのか,未来に何を残せるのかと考えさせられる想定していなかった映画体験となった.

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