『結城友奈は勇者である』を観た~似て非なりますか?

2021/11/17 Wed

肝付兼太のムダ使い.

YouTubeにありがちな「鬱展開になるアニメ5選」的ネタで知ったこの作品.
題名だけ覚えて即ブラウザバック.
幸いAmazon Prime Videoで配信されていたので.ネタバレ完全遮断にて観始めた.
そして,全12話を観終えたので感想.

結城友奈は勇者である

以下,ネタバレ注意.
例によって,レビュー動画・サイトの類は見ずに書いているので細かい設定の記憶違いや誤解はご容赦.

本作品はざっくりと3部で構成されている.

1~5話:キャラ紹介.状況説明.前半クライマックス.そこはかとなく流れる不穏な空気.散りばめられた伏線.
6,7話:インターミッション.水着&温泉回(必要?)
8~12話:残酷な世界の真実.キャラに襲いかかる絶望.決意からの覚悟.最終決戦からの勝利.大団円.

日本のとある地方都市,そして中学校が舞台.
うどん推し+学校名からしてパラレルな香川県.
教室には神棚があって,授業の最後には祀られている神樹様に一礼.
この神樹を管理しているのが「大赦」という組織である.

主要キャラは女子中学生の4人(+追加メンバー1人)で,「勇者部」なる部活(≒ボランティア部)に所属している.
この少女達が,大赦からスマホに配信されたアプリを使って,十二星座の名を冠した謎の生命体「バークランツ」(だっけ?)から神樹を守る勇者に変身して戦う.
どうやら,神樹とバークランツが接触すると,サード・インパ...ではなく世界が滅びるらしい...

うん?

「世の中の物語は36パターンしかない」という話がある.
この「36」という数字はシェイクスピアの書いた戯曲の数から(諸説あり).
全ての物語はその亜流に過ぎない...という話を信じていた頃がKazchariにもありました.
本来はそうではなかったことを最近知った(ネットは便利だ).

番外編・シェイクスピア36分類は本当か

どうやら「36」とはシチュエーションの数のこと.
物語がそれらの組合せで出来ているということならば,そのパターンは膨大な数になる.
有限は有限だが,一個人がその生涯で全てを網羅する(体験する,読む)のは不可能だろう.

以上の知識を元に,この『結城友奈』の物語を考察する.
全編どこかで観たシチュエーションの組み合わせでできている.
パクリとは言わないが,その組み合わせの結果,化学反応が起きて,秀逸なオリジナル作品になったかというと...正直微妙.
ここまで既視感だらけの作品も珍しい.

ビジュアルは『プリキュア』シリーズっつーか,そのダーク・リアル路線である『魔法少女まどか☆マギカ』(2011)まんま.特にキャラデザ.武装こそ違えどイエローがいつマミるかと...

謎の敵が御神体と接触することを目的に襲ってくる.しかもその敵の総数が決まっている,はモロに新旧『エヴァンゲリオン』(1995~2021).しかも,事前に訓練を受けた赤カラーのツンデレエリートまでいる.

人々は閉じられた世界で生活していることに気付かず,平和に暮らしているのはは『マトリックス』(1999)か.アニメなら『ゼーガペイン』(2006)?

ラストバトル.ダークサイドに墜ちかける親友をぶん殴って正気に戻すのは『グレンラガン』(2007)?

かように漂う「自分たちが好きな作品の要素を全てぶち込みました」感.
もちろん確信犯だろう.
ただしそのデキは...残念ながら劣化コピーと言わざるを得ない.

『結城友奈』は一言で言うなら,神樹(地球)vsバークランツ(異星人)のゲームに過ぎなかった.
最終的に神樹側の用意したプレーヤーが勝ったから,全てチャラにしたご褒美ハッピーエンド.
安易に命の問題を扱った結果,恐ろしくぬるい話になってしまった.
何の深みも思想もない.

『まどマギ』(TV版)が示した「概念」としての存在は幸せなのか,少女を終えて成人になった後の敵とは...と言った考察的エンドとは無縁.

過去のヒット作ごった煮にも関わらず大ヒットしたのが,言わずとしれた『鬼滅の刃』.
ジャンプ系バトルマンガの要素をこれでもかと詰め込んでいるにも関わらず,なぜかオリジリティにあふれている.
何が違うのか?
コピーとリスペクトの違いなのだろうか.

『結城友奈』を擁護するなら,12話まで一気に見せるだけの”引き”はある.
オチには期待させられたのだが,まさかこれほど安易に終わるとは...

先日書いた『タクト・オーパス』の話しかり,文句ばっかり言っているような気もする.でもな.

誤解の誤解は?~「運命」と「フランケンシュタイン」

少し古い作品になるが,新作映画の配信に伴って『シドニアの騎士』を再視聴している.
こちらは掛け値無しで素晴らしい.
「原作=絵コンテ」とはよく言ったもので,味気ない+状況がよくわからないあの白っぽい絵に色,動き,そして迫力の重低音が加わるとこれほど素晴らしいモノに生まれ変わるとは.
過去の名作の影響がゼロとは言わないが,『シドニア』の独特の世界観が視聴者を異空間にいざなう.
スタッフのこだわりが全面に出まくっている作品.
熱量が圧倒的だ.

シドニアの騎士

コメントを残す