ファットなメンテとネパールカリーライド

2024/1/27 Sat

あの頃.

OLYMPUS TG-5

曇り.温度:-4 ℃,湿度:81%,体感温度:-5 ℃,風速:4.0 km/時,風向:NW

土曜日である.
午前中に時間ができた+吹雪なし.
これは出かけねば.

とりあえずの目的地は「ヨシリン」さん.
昨年のクリスマスに訪れたところ,見事に年末休業.
今回はそのリベンジも兼ねる.

ファットな自転車屋巡りとクラッシュライド

オーバーホール後,通勤で毎日使用,山登ったりレースに出たりと酷使したファットくんの点検もお願いしたい.

まずは駅前方面へ.

OLYMPUS TG-5

旭川の歩道は広いため,歩行者と自転車共用可が多い.
ただし冬はやっかい.
除雪は入っているものの,幅が狭くなるため歩行者を追い抜くことは難しい.
もっとも,この時期に外を歩いている人はほとんどいないけど.

OLYMPUS TG-5

スムーズに駅前まで移動.
長らく地元住民のKazchariだが,鉄道の利用は数えるほど.
札幌に行くにしても高速バスが安くて便利.

で,そのまま旭町方面へ.
今回は無事営業中.

OLYMPUS TG-5

駆動系を中心に点検してもらう.
特に問題なし.
さすがスペシャのファットだ.なんともないぜ!

台湾旅行経験者のお客さんから「(Kazchariに)あげてください」と店長さんに託されていた,仏式⇒米式バルブアダプターをいただく.
旅行中,あちこちでポンプは借りることはできるが,仏式対応のモノはめったに存在しないらしい.ありがたい.

そうそう,先日「環島」のチャリを持参からレンタルに変更する旨の記事を書いた.

ここにきて「環島」プランに大変更!?

早速,先方のMathewBikeさんから連絡あり,無事希望の「Surly Touring Bike」が予約できた.

https://mathewbike.com/touring-bike-rental/

デポジットは1,050台湾ドル(約¥5,000).
PayPalで支払った.事前にマイナンバー登録してて助かった.

後は借りれる用品の確認と持参するギアの選定やな.
チャリという大荷物がなくなるだけで,ぐっと気楽な旅になった.

家族連れのお客さんがやってきたので退散.
旭川新橋から冬まつりに向けて製作中の雪像が見える.
そういや何年か前,「アニキ」こと水木一郎が歌ってたなぁ...合掌.

OLYMPUS TG-5

地味に面白い旭川の市内探索.
クルマでは見逃してしまうような路地裏に様々なオブジェを見つける.

OLYMPUS TG-5

それに,なんと言っても積雪によるどこもかしこもグラベル化が街中ライドの醍醐味よ.
Go&Stopの繰り返しで距離以上に脚を使う.
それにわだち,雪だまり,穴,アイスバーンなどのトラップ多数.油断するとこける.

OLYMPUS TG-5

12時を過ぎた.
腹が減った.
「かつやは飽きたしなぁ...」と言いつつも,やはりコスパ最強の「かつや」方面にハンドルを向けてしまう悲しい性.

旭川東光地区.
かつて沖縄料理店があった場所が,いつの間にかネパールカリー屋になっていた.

隣接するラーメン屋とどちらにするか,しばし熟考.
ランチメニューが意外に安かったカリー屋チョリチョリにする.これが大正解だった.

OLYMPUS TG-5

店に入ると「ナマステ~」の元気な声.
てっきり色黒の顔の濃い人かと思いきや,メガネをかけたモンゴロイドなご主人.

「あぁ,チベット系の人かなぁ.日本語うまいっつーか,自然やなぁ」と勝手な思い込み.
後でわかったけど,ご主人は純な旭川出身の日本人でした.

iPhone11 Pro

本格的な店内の装飾,さりげなく置いてある書籍(旅行人ノート)からして,ひょっとして只者ではない人かも...と思い,他にお客さんがいなかったので「ひょっとして元バックパッカーですか?」と質問.

やはりそうでした.
あまりにも経歴が多様だったので,全てを正確に思い出すことは無理だが,アフリカに5年ほど住んでいたそうな.
ソマリア,イラク,アフガン,ブラジルのファベーラなど,かなりアレな地域にも滞在.
街の地図作成を趣味(?)にされており「旅行人」にもページを持っておられた.

他に日本のボランティア団体のアテンドやら,東京で芸能事務所を開いていたとか,いやはや凄まじい経歴である.
で,今はシェルパ族の奥さんと結婚し,この店を開いたとのこと.

旅話の内容が,Kazchariの知識や経験とかぶるところが多かったので,失礼を承知で年齢を尋ねたところ,やはりというかなんというか...同い年でした.
まぁ「遊星通信」とか「ジュライ」「楽宮」「北京飯店」の話が通じる同志はめったにいない.

iPhone11 Pro

パッカー旅のあるあるで盛り上がっていたところ,注文した「豆カレー」「チキンカレー」とナンのセット(Cセット)が到着.
これにサラダとドリンク(チャリ),デザートのアイスクリームがついて¥1,270はかなりリーズナブル.
ちなみに(巨大な)ナンはおかわり無料だ.もちろん美味し.

iPhone11 Pro

旅の話の他,Kazchariのファットバイクに興味津々.
値段やら走る場所など色々とレクチャー.
冬チャリ最高! ようこそ〇ンタイの世界へ.ダヒャダヒャ.

iPhone11 Pro

さほどクセもなく,辛さも選べるので子供連れでもなんとかなりそう.
今度,うちの子らも連れてこよう.

で,ツインハープ橋を渡れば,家まですぐである.

OLYMPUS TG-5

帰宅後はさっとシャワー.
街中ライドとはいえ,汗はかく.

本日はハスラーのメンテナンス日.
ディーラーに行かねばならん.

うちのハスラーも10年目.
ディーラーに行くたびに「そろそろ新車どうですか?」と勧められる.

うーん,秋に発売されるらしい新型の「スペーシア・ギア」が気にならないことはないことはない.

スズキ 新型「スペーシアギア」フルモデルチェンジ 2024年10月発売

そやけど基本価格が...
ぐぬぬ.DOGMAと同じ価格帯か...(おい)

おっと,その前に「クランカー」さんへDOMANEを輸送.
そう,今度はこいつのオーバーホールである.

DOMANEの今期オーバーホール完了!

誰や,チャリは金かからんって言うたんわ!
台湾には連れていけなくなったけど,DOMANEには今年もブルベで活躍してもらう予定だ.
現在61000km越え.まだまだぁ!

OLYMPUS TG-5

あぁ異国の地よ~過ぎ去りし日々

2023/9/7 Thu

全てが愛おしい

先日,Yahooニュースで面白い記事を読んだ.

いま空港でトラブル続出…日本人の若者の7割がじつは知らない?「パスポートの落とし穴」

この記事の若者(?)を笑えない.
新しいことに関しては誰もが初心者,失敗して成長するのだ.

むしろ,代理店に頼まず自分でやろうと思ったことを評価したい.
その考え方だけで既にチャレンジング.素晴らしい.

新コロ禍が(ほぼ)明け.今夏から海外旅行に出かける人が増えているようだ.
ただし円安が猛威を振るっている.

PBP参戦などの記事を読むと,燃料サーチャージはもとより,現地での飲食代,日用品の値段がえげつない.
赤コーラが¥500とか...

Kazchariが最後に海外(インドネシア)に出かけたのは2019年12月.

2019年のラジャ・アンパットダイビングクルーズ(1)

当時ですら,円の価値は既に怪しかった...

本当に時代は様変わった.
海外旅行って,もっと気軽に行けていた気がする.
では,そんなKazchariは,これまでどこを旅してきたか.

Kazchariが人生初の海外旅行に出かけたのは1989年である.
大学の卒業一人旅.行き先はケニア,インド,ネパールだった.

なぜこのように変則的なのかと言うと,当初は西アフリカのトーゴが目的地(フォスターペアレントの寄付先)だったからだ.
旅行代理店に相談したところ,「旅行初心者に西アフリカは難易度MAX」と諭され,代わりにメジャーな観光地であるケニアを薦められて変更した経緯がある.
今のスキルがあれば,ケニアからトーゴに飛べただろうが,当時はレベル1の雑魚.素直に断念した.

その際,利用した航空会社はエア・インディア.
往路,復路ともムンバイ(旧ボンベイ)でのトランジットが可能だった.

それで,インド(とネパール)を旅することになったのだが...いやもう,噂に違わぬカオスっぷり.それまでの全ての価値観がぶっ壊れた22歳の春だった.

その後,会社勤めをしたが,仕事のあまりのつまらなさに3年も経たずに退職.
大企業だったため,いわゆるブラックではなかったけど.
ひたすら自由が欲しかった.山の向こう,海の向こうの景色が見たかったのだ.

向かったのは盗難...おっと東南アジア.
タイ(バンコク)を皮切りにラオス,カンボジア,ヴェトナム,マレーシア,シンガポール,インドネシアを10ヶ月ほどバックパッカー.

旅の回顧録~1993年のカンボジア(1)

旅の回顧録~1993年のヴェトナム(1)

戻ったタイにて睡眠薬強盗の被害に遭い,パスポートと有り金を全部ヤラれたので旅は強制終了.
そんな26歳,無職の秋.

猛勉強(?)の末,専門学校に合格.
入学前に旅館住み込みバイトで軍資金をため,再びタイの事件現場へ渡航.
その時,お世話になった方々に御礼.
落とし前をつけるため,そこから前回の旅をリスタート.
訪問を予定していた国,ミャンマー(ビルマ)を訪れる.
あそこまでやさしい国民性を他に知らない.

専門学校にておとなしく1年を過ごす.
比較的時間のあるうちにと,進級前の春休みに再びインドへ.
全く予定になかったが,現地思いつきでモルディブを訪問.
ありえない美しさの海にて,初めてスキューバ・ダイビングを経験する.

『南の島の大統領』を観た~モルディブの思い出

残りの専門学生生活を送る.
バイク事故により1年留年する羽目になったが,無事卒業し国家試験合格.
同級生だったヨメさんと結婚し,久々にまともな社会人生活を送る.

3年が経過.
かねてからの野望,青年海外協力隊への参加を模索.
参加要件を満たしたため,選考試験を受ける.
ちょっとした病気に罹患したことにより,見事に不合格.
資格を活かして1年間パート勤務.

2回目の選考試験で無事合格.
ジャマイカに2年間滞在することになった.
そんな35歳の冬.

派遣中は3週間の自主的な海外研修が可能.
近隣&許可された国だったドミニカ共和国,パナマ,コスタリカを訪問.
各国の隊員によるアテンドがディープだった.

無事2年間の任期を終えた...のだが,これまた自費での帰路変更可能.
メキシコ,ベリーズ,グアテマラに立ち寄ってから成田の地を踏んだ37歳の春

これまた資格を活かして職を見つけ,大阪から北海道へ引っ越し.
失業状態から再就職まで3ヶ月ほど時間ができたので,ヨメさんと地球一周の旅に出る.

世界一周堂の3大陸コースを選択.

アメリカ(アラスカ),メキシコ,チリ,アルゼンチン,パラグアイ,ブラジル,スペイン,モロッコ,ポルトガル,エジプト,フィンランドを訪問.
特に幼年期からの憧れ,イースター島が想像以上に素晴らしかった.

旭川に住み,再び定職についてからしばらくはGWおよび秋の連休を利用して渡航する生活が続いた.

その多くはダイビング目的.

パプアニューギニア(マダン,キンベ湾)から始まって,フィリピン(セブ)タイ(コタオ)インドネシア(コモド)パラオメキシコ(ラパス)...

リゾート滞在やクルーズ船での旅である.
国内も沖縄の離島や小笠原にも行ったなぁ.
特に気に入ったのは西表島多良間島だ.

やっかいなのは潜るだけでなく,一番金のかかる水中写真にもはまってしまったこと.

スキューバダイビング,やめよっかな?

他にレンタルバイクによる「ボルネオ島縦断ツーリング」(ツアー)にも参加.
東マレーシア(コタキナバル),ブルネイ,インドネシア(ポンティアナック)を走破.
モニターツアーだったせいか,代金が格安だったのが印象的.
その大盤振る舞いのせいなのかどうなのかわからんが,数年後旅行会社が倒産するというオチ付き.

ボルネオ島縦断ツーリング

モルディブ帰りにスリランカもバイクで走った.

娘が生後4か月の時にはグアム,2歳の時にはタイ(プーケット)に連れて行った.何の記憶も残っていないそうな.

息子ができてからは4人で台湾に行った.
娘はともかく,こちらも1歳に満たなかった息子は何も覚えていない.

そして2020年,新コロ禍の到来.
以降,パスポートのスタンプは増えていない.

こうしてまとめてみると,行きたいと思った場所にはほぼ足を運んでいる.
一度は断念した場合も,なんだかんだで最終的には到達している,なかなかリベンジな人生やな.

辛いこともあったけど,やはり旅以上に楽しいことはないな.

自由が欲しい,社会的地位も欲しい.
内面が見たい,外面も愛でたい.
片方しか知らない人生は送りたくない.
これは19歳でヘルマン・ヘッセの『知と愛』を読んで以降,Kazchariの行動指針となっている.

知と愛(新潮文庫)

何だか全てが終わってしまったかのような書き方だが,まだ見ぬ土地への憧れはあるか?
答えはYESだ.

「若い時旅をせねば老いての物語がない」(とある古典)

見るべき物,経験すべきこと,会うべき人ははまだまだ存在する.

山岳映画2本~『神々の山嶺』&『イーディ,83歳 はじめての山登り』

2023/1/17 Tue

リアルとファンタジーのあいだ.

Zwiftの友である「Amazon Prime Video」にて山岳映画を2本連続で観た.

まずはこれ.

神々の山嶺

現在,同題名の物語は4つ.
まず原作となる夢枕獏の小説『神々の山嶺』(「いただき」では変換しません).

エヴェレスト 神々の山嶺 (角川文庫)

かなり以前に読んだ.
「発見されたマロリーのカメラは本物か否か」のミステリー仕立てから始まって,とんでもなく自我が肥大した山岳家の「冬季エヴェレスト無酸素南西壁登頂」への挑戦...と,当時の読書録には書いてある.
評価は見事に星5つ.
作者自らが「どうだまいったか!」と言っていた記憶もある.確かに.

次に『孤独のグルメ』で有名な谷口ゴロー...じゃなくてジローさん作画によるコミック版.

神々の山嶺 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

Kindleで購入し読了済み...だったことをすっかり忘れていた.

いまさら再読.これまた素晴らしい.
生涯ベストのコミックに上げる人も多いという.

特に山の画力は圧倒的.
この質感は写真トレースでは絶対に出せないだろう.

そして食事シーンの素晴らしさ.
その詳細な説明と描写も相まってリアリティの鬼.
さすがジローさん.

ただ,原作にもある(?)無理矢理感なアクション要素が玉に瑕.
羽生のモデルになった人(森田勝)に実際にこんなことが起きた? それはないだろう.

個人的にツボなのはカトマンドゥの描写.

Kazchariも1990年,インドからバスでネパールに入国.
ポカラからカトマンドゥまで旅をした.

登山?

ポカラから日帰りで行けるトレッキングはしたなぁ.
つまりマチャプチャレのふもと?

ネパール・ポカラにて / 1990年3月15日撮影
ネパール・ポカラにて 自称ガイドの少年 / 1990年3月19日撮影

途中の山道で巨大なザックを背負った日本の登山隊の人たちに挨拶した記憶がある.すんごい迫力でした.

次に邦画の阿部寛&岡田准一主演の『エヴェレスト 神々の山嶺』

エヴェレスト 神々の山嶺

リンクを貼っているものの未鑑賞.
実際にベースキャンプまで登って撮影したという宣伝文句には惹かれるものの,「ギアが全てスポンサーの新品モンベル製で不自然」だとか「ストーリーが変な方向に改ざん」と聞き,すっかり興味をなくした.

レビューを見ると賛否両論(どちらかと言えば否多め).
もともと昨今の邦画の「お涙頂戴過剰演出」と「説明ゼリフだらけ」にイライラさせられることが多いので観る予定なし.すいません.

ただし,原作,コミックにある超有名な羽生のモノローグ.
これはしっかりと描写されているらしい.好ポイント.

やすむな。 足が動かなければ手であるけ。 手が動かなければ指でゆけ。 指が動かなければ歯で雪をかみながら歩け。 歯もだめになったら目で歩け。 本当にだめだったら、本当にもう動けなくなったら、思え。 ありったけの心で思え

で,ようやく本題のアニメ『神々の山嶺』の感想.

神々の山嶺

なぜかフランス製作である.
ざっくり言うと,コミック版を元にして再編集っつーか,上映時間内におさまるように印象的なエピソードをオリジナルでつなげた感じ.

結論.
レビューでの評判は上々だが,Kazchari的にはイマイチだった.

確かにセリフが少なく,BGMが抑え気味なのは好印象.
それを受けてか,ストーリーもものすごくタンパク化.
リアリティと言えばそうなのかもしれんが,熱さはあまり感じず,物足りなかった.

さらに,なんつっても...先程あげた,羽生の”あのモノローグ”が丸々カット.
さすがにこれはない.
フランス人にはわからん感性なのか?(偏見)

日本の描写もそれっぽいというかほぼ違和感なし.
少なくともZwiftの「MAKURI ISLAND」よりずっとジャポネしている.
たぶんスタッフに日本人がいるのだろう.

しかし,なぜか岸の遭難死を伝える新聞だけが変.
わずか数秒の描写だが,岸の写真の周りが「震災直後の福島発関連記事」だった.
なぜ?
チェックミス?

つーことで,手軽さ(再読しやすい)や面白さ,満足度ではコミック版が一番,続いて原作かな.

山岳コミックでは,超美麗な作画と壮絶なストーリー展開の坂本眞一の『孤高の人』が印象に残る.

孤高の人 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)

本格的に山やっている人だと,また評価は違ってくるのだろうけど.

で,「次に観る」で上がっていたのが,これ.

イーディ、83歳 はじめての山登り(字幕版)

原題『EDIE』.

脳梗塞で倒れた夫を30年間介護し続け,80歳を越えてしまったイギリス人女性,イーディ.
夫の死後,娘に老人ホームの入居を勧められる.
部屋の片付け中,昔の日記を娘に読まれて関係悪化.
一人残されたイーディは,昔,父からの絵葉書に描かれたスコットランドのスイルンベン山に登ることを思いつく...というお話.

以下,ネタバレ.

まぁ,それにしてもこのばーさん,性格が悪い.
もしくは不幸な人生により悪くなってしまったのか...いずれにせよ非常に頑固.

一方で「正直に生きたいと思いつつも,それを口に出してはいけない」という変な縛り(我慢?)を自分に課してたりする.
そう,めちゃめちゃ面倒くさいのだ.

象徴的なのが冒頭,こっそり肉を焼いていたのを,娘に「こんなの不健康」と咎められ,捨てられてしまう.
ここでばーさん,何も言わない.非常に腹立たしい.
高齢者ほどタンパク質重要なのに!(そっち?)

それらの不満は日記にぶつけてきた.
結婚してから今まで,ずっとこうだったのだろうか?

そういうのは絶対,顔や態度に出る.
夫や娘との関係がよろしくなかったのも,このばーさんの性格が主な要因の一つだろう.

さて,夫が死に娘と離れ,自由になったイーディは,山に登るため列車に乗ってスコットランドに向かう...と思いきや,一旦やめかける.

あーイライラする.

うん? もしかして,視聴者にそう感じさせる時点で監督の術中に,見事にはまっている?
ホームコメディ,ハートフルムービーとは真逆のアプローチ!
実に新鮮.

当然この後「このばーさん,かわいい,かっこいい!」という風にもっていく展開になるはず...と思っていた時期がKazchariにもありました.

その先もジョニィを始め,出会う人々(ついでに自分)に悪態付きまくり,ここまでかわいくないばーさん,邦画では絶対ありえない(たぶん).

なんだかんだで後半.
ジョニィのガイドを断って,一人で登ることを決意.
ドローンを駆使した映像も相まってようやく旅の始まりを予感させる.

ここからはばーさんの逆襲,視聴者の好印象も爆上がり!...になるはずが,いきなりボートを湖に下ろす際に手伝ったもらった他のハイカーを罵倒.
びっくりした.

文句ばっかりでは何なので良かったところ.

終盤も終盤,ザックを置いて這うように崖を登るイーディの姿.
役者の演技も相まって,ここはヘタな雪山映画よりも迫力あった.
ここは,ここのシーンだけは素晴らしかった.
そうまるで,羽生の例のセリフ「想え」がかぶってもおかしくないぐらい.

しかし...この後がよくない.
マジで全て台無し.

電話がつながらないことに不安を覚えたジョニィが,慌ててイーディの後を追う.
まずザックを発見,さらに途中で疲れ果ててひっくり返っているイーディを発見!まだ死んでなかった(失礼な).

そして...ジョニィに支えられながら無事山頂へ...ぐわぁ~全てブチ壊し.
ここはイーディが一人で登らんとアカンやろ~
これまでの意地はなんやったんや~

以下はあくまでKazchariの願望.
ラスト,少なくとも山頂まではイーディは一人で登る.
ジョニィがイーディを発見するのは,山頂で佇む彼女の姿⇒エンドで良いのでは?

それこそファンタジー? 非リアル?
いやいや,それなら一言も話さない山小屋狩人のレスキュー話は不要.

最後の最後までスコットランドの天気のようにすっきりしない映画だった.

やりたいことやる高齢者という視点では『ダージリン急行』が面白かったなぁ.

ダージリン急行 (字幕版)

全然毛色の違う映画やけどな.

さて,山登りと言えば,Kazchari家恒例の高齢の息子と男二人キャンプ.
昨年のGWは日高のアポイ山に登った.

海!山!温泉!~小学生男子とアポイ岳(その1)

登る前も,そして帰宅後も「二度と山は行かねぇ」と文句ばかり言っていた息子だが,結構,事あるごとに山での出来事を話す.

そう,辛くて強烈な記憶ほど脳内に残るものなのだ,息子よ.
さて,次はどこを登らせてやろうか...