2025/8/12 Tue
チャリで来た。

Day1はこちら ⇒ 『ジャパン・グランドネ 2025北海道1200㎞納沙布岬』Day1
———————————————————————
Day2:8月12日(火)
PC5 北見市自然休養村センター ⇒ PC8 別海町町民体育館 639.1km地点
ここは「北見市自然休養村センター」2階の雑魚寝部屋(の煎餅ふとん).
眠れない夜のまま,3:00にセットしたバイブアラームが作動した.
わちゃー,これで2晩連続でほぼ徹夜.
目をつむり,横になるだけで脳疲労はある程度回復するとわかっていても,やはり辛い.走行中のマイクロスリープに注意せねば.
不眠の原因はわかっている.
1つは精神的緊張.
常にカラダが戦闘態勢.交感神経が優位なまま.
もう1つはやはりこの薄すぎる煎餅ふとんのせい.
肩甲骨や腰椎が床にあたって痛いのだ.
前回「知床300」時に泊まった時も「このふとんでは眠れ~ん!」と痛感.
ゆえに今回はドロップボックスにキャンプ用エアマットを入れておいた.
これを使えば全て解決...のはずだったが,昨夜の「マッサージガン」同様,一人だけで使うのが憚られ...あぁ小市民.
なりふり構わない状況には,まだ至っていないということか.

雑魚寝部屋は暗い.
ドロップボックスや布団周辺にちらばった小物を抱えて廊下に出,本日の走行準備.
まずはウェア(その2)を着る.
汚れモノ,明後日までの不要品はボックスに収納.
そして明日の着替えが入ったパックをサドルバッグに積み込む.
ライトの電池を入れ替えて,リアの日中点滅および夜間走行に備える.
こう書くとあっさりしているが,実際はロクに働かない頭を必死に動かしての作業.
「あれが足りない,これは不要」と,部屋と別棟を何度か往復するハメになる.
そうそう,昨夜Topstoneを入れていた別棟だが,朝行くと布団で寝ている参加者であふれかえっていた.
スタッフの指示に従ったまでだが,ここは本来,チャリを停めたらあかん場所だったのでは?(真偽不明)
いずれにせよ,ご迷惑をおかけしました.すいません.
結局,用意されている朝食も食べぬまま,4:15頃にリスタート.
準備に時間をかけ過ぎだ.反省.
外はすっかり明るくなっていた.

脚の調子は良い.
ただし,ケツの痛みがじわりと...これが後々...
まずは美幌町に向かう.
「知床300」の記憶がよみがえる道だ.
まずは最初にガツンと登り,トンネルを越えて平坦を淡々と進む.
早朝5時.まだ町は眠っている.

幸いなことに既にセイコマが開いていた(6時オープンが多い).
腹も減ったしピットイン.
美幌峠が控えている.おにぎりやバナナ,ジェル,コーヒーの朝食.
隣に座る参加者が,買いためた補給食をサコッシュに詰めていた.
そうか,こういう使い方をするために受付で配ってくれたのか.
食べ終わったらサコッシュは小さくたたんで携行すると.ふむふむ.
思わず「ああ,そういう使い方するんですね.今気づきました」とお声掛けするが,ポカンとした表情.
ああ,もしかして台湾人? 英語に切り替える.
でも通じない.
そうそう「環島(台湾一周)」の時も思ったが,台湾のみなさん,日本人以上に英語が苦手な方が多いのだ.
こんな時には中国語...と言いたいところだが,すっかりサボリ気味.スマホのDuolingoくんもすっかり崩壊している.
翻訳アプリを使うほどでもないので,サコッシュを指さしてサムズアップ.
微笑みが返ってくる.十分だ.

さていよいよ本日前半の山場,美幌峠である.
チャリで登るのは初めて.それほど”激”ではなかったような...

峠手前10km付近から,じわじわと登り始める.
本州の方が言っていたが,北海道はいきなりどーんと斜度が変化せず,1%,2%と徐々に斜度が上がっていく(しかも長い)直登の峠が多いそうな.
確かに.クルマやオートバイでは気にならないが,チャリだとよくわかる.

でもまぁ,それでも何度か走っている道である.
見覚えのある風景の先に「道の駅 ぐるっとパノラマ美幌峠」が見えてきた.

ここのトイレは伝説となっている.
2014年開催の「納沙布岬1200」が台風キャンセルされた瞬間,大勢の参加者が退避していた場所として有名である.
あくまで情報として知っていたが,いざ自分が参加して感じるのは,当事者および運営側の無念.
これまでの膨大な準備がパー.なにせ納沙布岬はまだ先.半分に到達しないままの中止である.
苦渋の決断とは正にこのことだろう.
そんな「道の駅」に多数の自転車が停まっているのが見えたが,ここは立ち寄らず,そのままダウンヒルに入る.

屈斜路湖を望む絶景は少々曇り.
普段ガスっていることが多いのでまだマシか.
慎重にダウンヒルをこなす.
新しめの舗装が終わると,道東名物のデコボコ&ひび割れ路面が攻撃を仕掛けて来る.落車とパンクは絶対に避けねば.
流れゆく風景を楽しむより路面状況を慎重に確認,とっさに判断して回避行動をとる.
動体視力の低下がキツいぜっと.
それでも比較的安心感をもたらしてくれるのがTopstone.
「GRAVELKING 35C」(無印)は少々の荒れをモノともしない.
そしてLeftyサス&リアのキングピンも良い仕事をする.
このブルベは道東に深く進入するに連れ,路面状況が増悪していくわけだが,グラベルロードのTopstoneとの相性はぴったりである.
最終日,精神的にも体力的にも,ある程度余裕を持ちつつゴールできたのは,こいつのおかげだろう.
そして下り切った先には弟子屈町.
久々のセイコーマートがお出迎え.

このセイコマも思い出深い.
「オホーツク1300」3日目の紋別から釧路区間.
天気予報の暴風雨確率70%に対し,信じがたいことに雨に会わず,このセイコマまでたどり着くことができた.
この奇跡以降,自称”晴れ男”をあちこちで吹聴するようになった(うぜぇ).
さて出発.
今回は釧路ではなく別海町を目指す.
昨秋,MTBツアーで何度か走った道だな.
風景が”いかにもな”道東っぽくなってくる.
一山クリアし,どこかのセブンイレブンで偶然に見かけて試しに買った「ラムネわらび」で補給.
美味い.これはライド中の定番品に格上げやな(冷やすとさらに).

水分補給で止まったどこかのセイコマにて400km突破.
もう残り800kmしか走れません!

たまには止まって風景写真.ブロガーの性.


この頃からキューシートとサイコンが表示する距離にズレが生じてきた.
GPS受信状況のせいだろうか.
プラス5kmほど多めに走っている計算となっている.
そんなこんなで10:57.
【PC6:別海町町民体育館】483.2km地点着

ここを拠点に納沙布岬まで往復する.
チェック後,休憩がてら昼食をいただく.

ここはカップラーメン他,パンが充実.
そして何よりありがたいのが「別海牛乳」.

ただ,コンビニ飯が続いているので肉(!)が食いたくなってきたぞ.
どこかの食堂でゆっくり食べるべきか.
ここの体育館は今夜の宿となる.
結構な広さで快適に眠れそうだ.
ふと壁際に目をやると,テーブルの上にサドルバッグやウェアが積まれている.
それぞれネームタグも付いている.
これはもしかして,納沙布岬往復のための軽量化作戦?
出走ガイドには書かれていなかったが,こんなサービスがあったのか?
で,スタッフに確認すると,なぜか把握しておられなかった.
つまりは参加者の自主的な行動なのか?
「禁止とは言えないので自己責任でどうぞ」とのこと.
うーん.道中何があるがわからんので,荷物を置いていくのはやめとくか.
激坂続き,というわけではないだろうし.
で,ホワイトボードに出発時刻を書き込み,本ブルベのハイライト,納沙布岬を目指す.片道約80kmの道のりだ.

まずは根室市へ.
R44を激走.
根室と言えば日本最東端の都市.
なぜか近づくにつれ道路状況がどんどんよくなる.
そして,やや向かい風.
TTポジションを取る時間が多くなる.
そろそろ尻の痛みが出て来た.
ブラケット,下ハン,DHバーそしてダンシングなど,ポジションの変化でケツ圧を逃がす.

半島入口にある「道の駅 スワン44ねむろ」で休憩.
何年振りだ? ここに来るのは?
貴重なスタンプ(オンライン)をゲット.
それにしても暑い.
かつては「夏でもストーブを炊く地域」として有名だったはずなのだが.

施設そのものは定休日.お盆の稼ぎ時に休みますか.人出不足の影響?
わずかに見えるのは風連湖.

「根室」そして「納沙布岬」の青看板が出て来た.
このあたりから先行して走っている参加者とのすれ違いが増えて来る.
R大さんもいた.速い速い.
午前中にここということは,別海には泊らず一気に北見まで戻るのだろう.

アップダウンを繰り返し,久々の都会.
信号待ちも懐かしい.

ふと横を見ると「レース鳩」用の小屋.
ほほぉ,そういう文化(趣味)って,まだ残ってるんや.

岬への残り距離が減るにつれ,アドレナリン分泌.
休憩もせずとばすとばす.
小さい集落をつないでようやく納沙布岬着ぅ!
PCを発見したが,その前に記念撮影.
最東端らしきオブジェがあちこちにあるが,これが代表?
3~4組が撮影待ちの行列.
ちょうど参加者の方がいたので撮影をお願いする.
ありゃ,標識の文字が隠れてしまった(サムネの写真は後で撮り直したモノ).

その他のモニュメントも撮影.
ほとんどが「北方領土返還」系なのねん.



で,最東端ポスト.
ここから「到達証明書」を郵送するがデフォなのだろうけど,近いうち,過去の遺物になりそうな気もする.

おっと,大事な用事を忘れるところであった.
PCに行かねば.
【PC7:納沙布会館】561.2km地点着

15:10.ご苦労様です.
正に最果て感漂うPCだ.
ふとんがあるということは,ここで(一旦)力尽きる参加者もいるということか.
確かに夜間走行を避けたいエリアではある.

「最東端到達証明書」が配布されていたのだが,チャリに積んでも曲がって汚れるだけなので,受領は遠慮.
写真に撮ってデジタル化だけさせてもらった.申し訳ありません.

コーラをもらい,ボトルに水道水を補給させてもらって,さぁ復路だ.
と,その前にトイレ,トイレと.

トイレから出るとバイカーのおじさんが話しかけてきた.
「今日は同じような服装(蛍光ベスト)の自転車をたくさん見るが,何かのイベントなのか?」という,よくある質問.
ざっくり1200ブルベのことを説明.
驚愕の反応.
昔はKazchariもあっち側だったなぁ...(今も一応バイク乗り)
確かオートバイでここを訪れたのは35年ほど前.
まさかこの歳になって「チャリで来た。」をすることになるとは...(しかも札幌を出たのは昨日だ)
さて,復路だがブリーフィングでも説明されたように,キューシートにない北ルートで帰っても良いとのこと.
事前に「往路に比べると高低差がある」「市内に入ってから国道への接続がややこしい」といった情報も得ていた.
うーん,宿泊所(別海)には早く確実に戻りたいしな.ここは安全パイで往路と同じにするか(あぁ小市民).
北ルートはまた次回ということで(35年後?)
で,すれ違うこれから岬に向かう仲間たちにエールを送りつつ爆走.
一度通った道は距離が短く感じる.
根室の市街地まで一気に走り,セブンイレブンにて一旦休憩.
まだ暑い.
となれば,プロテイン&”みんな大好き”「アイスの実」でしょう.

以下はブリーフィングで注意された,高速と一般道の分岐点.
ホンマ,なぜだかこんな東の端なのに立派な道路が多い(失礼ですよ).

温根沼大橋を渡る.
ダイナミックな風景だ.

R44をひたすら西へ.
徐々に日が落ちてくる.
明るいうちに帰りたい.
まるで競争.

カロリー消費 ⇒ 即補給.
ブルベは己を内燃機関化するイベント.
通常の食事時間を無視して,腹が減ったら逐次燃料を投下する.
これがブルベ腹を作る.ゆえに痩せない(らしい).
途中のセイコマで買った「焼きそばパン」.美味い.

ここからちょっとした山越え.
途中,残念ながら日が落ちてしまい,ライトをON.
ようやく別海の町に戻る.
このまま宿泊所に戻っても,食料はパンかカップラーメン.
運営の皆様には申し訳ないが,もっとエネルギーになるモノが欲しい.
とは言え,今さら食堂を探すのも面倒.
宿泊所への曲がり角にあったセブイレブンにピットイン.
入口ドアに貼ってあったポスターで,大々的に宣伝していた「ハンバーグ弁当」!
あれが食いてぇ!
期待をこめて店内に入る.
あったあった,ありました.最後の一個が!

久々のちゃんとした肉.超美味し.
Kazchariの後にも後続の参加者が続々と停車.
どうやら考えることはみな同じなようだ.
腹も膨れたところで,19:29.
【PC8:別海町町民体育館】639.1km地点着
ここもタオルをくれた.
今ならシャワー室も空いているし,ボディソープ,リンスインシャンプーも備えられているという.ありがたやまである.
汚れたウェアを脱いでTシャツ&短パン.
シャワーを浴びて(ついでにひげも剃って),歯を磨く.
サイコン,ナビを電源タップにつなぎ,iPhoneのバイブアラームを3:00にセット.
アイマスクとイヤホンを装着.
早めの到着のご褒美.
まだ誰も使っていない新品のマット&シーツを確保.
2晩続きの寝不足.
さすがに今夜は,よ...く..眠れ...そ..うだ...ZZZ

Day3へ続く.