ケラを見た

2024/8/30 Fri

スーパーなヤツ

先日のこと.
チャリで信号待ちをしていると道路上に動く物体を発見.

茶色で小型の昆虫だった.
Gではない.そもそも旭川にGはいない(たぶん).
コオロギにしては細長い.

「まっ,まさか,あいつは!」

そう,「ケラ」だった.

ケラ,もしくはオケラと言えばとんでもない能力の持ち主として有名.

歩く,飛ぶ,泳ぐ.

そしてこれが真骨頂.
土に潜る.

英名で「Mole cricket」,つまり「もぐらコオロギ」とはナイス・ネーミングである.
機能美の塊のようなデザイン.

ただし益虫とも害虫とも言い切れない存在らしく,「虫けら」の語源になったとか.
ようするにどうでもいい存在?(諸説あります)

そんなケラが炎天下の交差点をこっそりと渡っていた.
こいつにとって最もふさわしくない場所だ.
クルマに轢かれるなよー.虫取り子供に見つかるなよー.

Kazchariの幼少期,田んぼは最高の遊び場だった.

水をはっている時期にはカブトエビを捕まえた.
こいつは雑草を食べたり,泳ぎまわることで稲に空気を送るという益しかない生き物.
農家の方があえて放流することもある.
卵の状態で越冬するので翌年も現れる.

秋から冬の稲がない時期には,雑草を土塊ごと引っこ抜いて様々な生物を見つけた.
その中でもケラがお気に入りだった.

軽く握ると,前肢をつかって指の間をこじあけようとする.
その時のくすぐったい感覚は今でも覚えている.
さすがに飼うことはなかったけど.

で,その大好きなケラに久々に出会えたことを興奮気味に若者(20歳)に話すと,「知ってはいますが,見たことはありません.それに虫は苦手で...」との冷めた反応.
つまんねーヤツだな(この考えが老害)

さらには,うちの息子(11歳)に「ケラって知ってるか?」と聞くと一言「知らん」
「このままじゃいかん」と,そのスーパーな性質を必死に説明するも「ふーん」と冷めた表情.

つーことは,最近の子供にとって『手のひらを太陽に』の歌詞は一部意味不明なのか?

新コロ禍を境に清潔志向・安全志向がますます加速.
子供らに与えた影響は小さくない.
手洗い,うがい必須程度ならまだしも,土遊び,泥遊び,水遊びあげくには遊具を使った遊びも禁止.
あげく他人との接触,会話も制限.

結果的に,自分以外の物的・人的環境への興味を失ってしまっているのでは?

最近,「子供の体験格差が問題」という記事をよく見かける.
金銭的事情によってアミューズメントパークに行ったり,習い事ができないみたいな話はさておき,何より回りの自然環境に目を向けよ.

暑い,寒い,痛い,かゆい,辛い,怖い,危ない...でもそれを乗り越えたら快感.
不愉快な自然との身体的・精神的闘い.これこそがシンの体験.
まぁ,ようするに「チャリに乗れ」といういつものオチなわけだ.

とにかく自転車に乗れ!

来年は中学生になる息子.
先日「入学祝いにチャリとノートパソコン,どっちが欲しい」と聞いたところ,即答で「パソコン」とのこと.

あー,聞かなかったことにしよう.