『バイクパッキングBOOK』を読んだ

2019/11/7 Thu

バイクパッキング BOOK 軽量バッグシステムが創る新しい自転車旅

軽量バッグシステムによる自転車旅の提案書である.
忘れかけていた何かを思い出させてくれる良書であった.
MTBによるグラベルツーリング(+テント泊)の話題が多く,まさにKazchariの旬の趣向に合致する.

自転車旅と言えば,頑丈だが重量級のクロモリ・チャリの前輪と後輪に,これまた頑丈なサイドラックと帆布バッグを4つ装着して,夏休みに真っ黒になりながら日本各地を旅する,というイメージが強い.

そしてチャリダーのメシの量は半端ない.

本書によると,昔に比べて何よりも装備の軽量・小型化が進んだ.
身軽になったことにより,未知なる場所へ踏み込むハードルがかなり下がった.
このブログで紹介してきたグラベルは基本,車も通れるダブルトラック,農業や林業用道路がほとんど.
著者の意見ではシングルトラック,つまり登山道や獣道のトレイルにこそ旅の醍醐味があるそうな.

Kazchariも元々はオートバイ野宿ライダー.最近,乗る機会がすっかり減ったものの,『HONDA XR250 BAJA』(1996年型)を未だに所有している.

思い起こせば1987年の夏,初の北海道ツーリングはなかなかの苦行であった.
当時はインターネットも,ノウハウを教えてくれる師匠も友人もいない.
せいぜい雑誌(『OUTRIDER』など)をむさぼり読んで装備を整えるぐらいしか事前準備できなかった.

若さは得てして楽観的思考を生む(準備万端にできるほど資金もない).
保温性能が低いわりにかさばる3シーズンシュラフと,雨風にめっぽう弱くデッドスペースだらけのダンロップの黄色い三角テント,EPIストーブとコッヘルのみがキャンプグッズ.
しかもバイクはレーサーレプリカポジションの『HONDA VFR400Z』
何とかなるだろうと大阪の自宅を出発.

舞鶴からフェリーに乗って,小樽に上陸し北を目指すという定番パターン.
キャンプ最初の夜は背中が痛くて眠れない.
そう,銀マットなどの地面に対するクッション類は持っていなかったからだ.
さらにはライトもないので夜は真っ暗.8月と言えど,北海道の朝は寒くて目が覚めた.

それでも2週間の旅からの帰宅後はすっかり野宿ツーリングに目覚めた.
出会った旅人たちのなんと面白かったことか.
失敗経験からの反省や社会人になったことによる金銭的余裕から装備品も徐々にアップデート.
オフロードバイク『HONDA NX125』も買い足した.

大阪在住時には四国,九州方面.
沼津に住んでいた頃には伊豆半島,信州方面は元より,東北地方まで足を延ばすなど,ほぼ日本中をバイクで周った.

昨今は,スノーピークのアメニティドームを軽自動車(ハスラー)に積んで,家族4人で毎年8月に1泊×2回ほどするファミリーキャンパーである.
これが決してつまらないわけではないが,何かが足りない.

スノーピーク(snow peak) テント アメニティドーム (新品番)

自転車趣味が高じてからは,オートバイではなく,旅するチャリダーが目に付く.
正直に言おう.うらやましいのだ.

しかしながら,よくよく考えてみると,ここ数年は既にバイクパッキングに極めて近いことを既に実践していることに気づいた.
そう,これって600kmのブルベ装備とさほど変わらない.
サドルバッグ,トップチューブバッグ,フロントポーチは既に持っている.
ストーブなどの調理道具もある.軽量テントさえ買い足せば,いつでも旅立てる.

プロモンテ(PuroMonte) 超軽量山岳テント [日本国内生産品]

現在,年末から元旦にかけての,ファットくんによる年越し宗谷岬ツーリングを計画中.

本当に実行するのか?
予断を許さない状況である.

旅の回顧録~1993年のカンボジア(8)

旅先での病気ほど不安なものは無ひ.

1993/3/20 Sat

昨夜は39℃の熱が出た.

幸い,この「Sunrise Guest House」には安宿にはめずらしく冷蔵庫がある.
薬を飲み,凍らせたミネラルウォーターのボトルを頭に押しつけ,懸命に熱を下げる.
体力をつけねばと思い,サンドイッチとバナナを腹に詰め込む.
明け方,ようやくこの日記が書けるまでには回復した.

今日は全く動けない.
カンボジアからの手紙を友人に出そう.

ここは地の果てカンボジア
照りつける太陽
ハエが飛ぶ飛ぶプノンペン
国中暴走 UNTAC
足の無い人うーじゃうじゃ
一雨来ればゴキブリ,ネズミがゾーロゾロ
飛行機ケチって列車に乗れば,屋根にしか座れない
人類の至宝アンコール,拝観料70ドル,払うが嫌さに抜け道行けば,“地雷危険”の標識あり
昨日は1ドル=2900リエル,それが本日5800リエル.
下手な両替バカをみる
こんな場所でも住めば都のカンボジア
私の旅はまだまだ続く

と,病明けのとち狂った頭で考えた文章を数名に送ることにした.
今,熱をはかると37℃.
マラリアではなかったようだ.

明日は再び,アンコール遺跡を見にいく予定である.
(その9へ)